細雪 |
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『細雪』(ささめゆき)は、谷崎潤一郎の長編小説。1936年(昭和11年)秋から1941年(昭和16年)春までの大阪の旧家を舞台に、4姉妹の日常生活の明暗を綴った作品。阪神間モダニズム時代の阪神間の生活文化を描いた作品としても知られ、全編の会話が大阪弁#船場言葉|船場言葉で書かれている。上流の大阪人の生活を描き絢爛でありながら、それゆえに第二次世界大戦前の崩壊寸前の滅びの美を内包し、挽歌的な切なさをも醸し出しているとして6月号の掲載を止められた。 谷崎はそれでも執筆を続け、1944年(昭和19年)7月には私家版の上巻を作り、友人知人に配ったりしていたが、それも軍により印刷・配布を禁止された。中巻(544枚)も完成したが出版できなかった。 1950年代に、英語(:en:The Makioka Sisters (novel)|The Makioka Sisters(英語))に翻訳、アメリカで出版されたことを皮切りに、世界各国でも出版されており、スロベニア語・ドイツ語・イタリア語・中国語・スペイン語・ポルトガル語・フィンランド語・ギリシャ語・フランス語・セルビア語・ロシア語・韓国語・オランダ語・チェコ語・トルコ語に翻訳されている。 なお、作中には年号の表記が出てこないが、作中で四季の移り変わりと、阪神間を襲った大きな気象災害(阪神大水害)が克明に描かれているため、この作品は日中戦争勃発の前年1936年(昭和11年)秋から太平洋戦争|日米開戦の1941年(昭和16年)春までのことを書いているとされている。 ;『細雪』の舞台となった場所 #兵庫県武庫郡住吉村 (兵庫県)|住吉村(現・神戸市東灘区)の谷崎の旧邸は、保存運動が特定非営利活動法人|NPO法人「谷崎文学友の会」と地元住民によって進められ、六甲ライナー建設による移築保存を1990年(平成2年)に成しとげ、「倚松庵」と名づけられている。 #岐阜県不破郡垂井町表佐地区(業平川)が5月下旬から6月中旬にかけての「蛍狩り」の舞台である。同町で谷崎が執筆する為に使用した「爛柯亭」は現在同県郡上市へ移築されている。 ウィキペディア(Wikipedia) |